本の紹介『知識創造企業(新装版)』

はじめに

 活き活きと活動している訪問看護ステーションはメンバー同士のコミュニケーションが豊かに行われている印象があります。訪問看護の仕事の特徴の一つに、メンバーがそれぞれ利用者宅でサービスを提供している、ということがあると思います。つまり、基本的にメンバー同士が同じ場所で仕事を進めることがない、ということです。こうした特徴を持つ訪問看護師の仕事をチームとして進めていくには、コミュニケーションがキーとなります。
 メンバー同士が高めあい、外部環境の変化をものともせず、それぞれの利用者の在宅生活の継続に向けてチームとして活動している訪問看護ステーションでは、チームとして新しい知識が生み出されているはずです。しかし知識といってもメンバーの頭の中にあるものは見ることができないのでなかなか意識するのは難しいと思います。
 そんなとき、知識の創造を、形式知(数値や文字で表せるもの)と暗黙知(個人の行動、価値観、情念に根ざした言語化しにくいもの)の相互作用として捉え、理論化した「知識創造理論」の思考的枠組みが、チームとして知識をどのように作り上げていくかを考えていくときに役立つと思います。... 続きを読む

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本の紹介『日本の経営<新訳版>』

はじめに

 訪問看護ステーションと取り巻く現状として、医療保険制度の変更や少子高齢化の影響、景気動向や医療技術の進展といったマクロ要因はニュース等で目にする機会も多いと思います。これらの要因は訪問看護ステーションの運営にも間違いなく影響してきますが、これら以外にも日々の仕事に影響を与えているものを感じることはないでしょうか。例えば文化・風習・慣習といったものです。こういった暗黙の前提になっているものは、その社会で暮らす私たちにとってなかなか見えにくいものです。しかし、時としてこのような暗黙の前提に困らされることも出てくるのではないかと思います。
 今回紹介する本は、1958年に出版されたものです。アベグレンというアメリカ人の研究者(1997年に日本国籍を取得)が文化人類学的な手法を用いて研究を進めました。1955-56年にかけて日本の工場を訪問し、日米の工場比較を社会組織の面から行い、日本的経営の特徴を明らかにしています。... 続きを読む

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ケース『看護師と本社の間でー訪問看護管理者田中めぐみー』

概要

 田中めぐみは訪問看護管理者である。彼女はスタッフの看護師がうまく動いていくれないことに悩み、加えて本社の管理部門がこちらの状況を理解してくれないことにいらだっている。どうすれば彼女は看護師と本社の間の板挟みの状況を乗り越えていくことができるのだろうか。... 続きを読む

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本の紹介『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』

はじめに

 前回のblogで、「チーム」という視点から訪問看護ステーションの経営を考えるのがよいのではないかということを書きました。では、チームというのはどういうものなのでしょうか。スポーツのチームなどを想像する方が多いのではないかと思います。仕事の場におけるチームについて考えるとき、多くの気づきを与えてくれるのが、今回紹介する以下の本です。... 続きを読む

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本の紹介『マネージャーの最も大切な仕事 95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力』

はじめに

 看護師が経験から学ぶにはリフレクションが重要であるということを以前blogで取り上げました。そして前回のblogでは、経験からよく学ぶにはリフレクションだけではなく、ストレッチとエンジョイメントも大切であるというということを紹介しました。
 今回は、訪問看護管理者(マネージャー)が自ステーション(チーム)の生産性や創造性を向上させるには、具体的に何をすべきかについて書かれた本を紹介します。... 続きを読む

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ケース『病棟の看護師長と訪問看護管理者ー病院での看護と訪問看護は何が違うのかー』

概要

 ケースには、病棟の看護師長である高田と訪問看護ステーションの管理者である河北という二人の人物それぞれの仕事の一日が記述されている。看護師をまとめるマネージャーであることは看護師長も訪問看護管理者も同じである。しかし、その働き方には大きな違いがあるようにみえる。この違いはどこからきているのだろうか。... 続きを読む

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