本の紹介『看護リフレクション入門』

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看護リフレクション入門―経験から学び新たな看護を創造する | 東めぐみ |本 | 通販 | Amazon

 看護師はどのようなプロセスを経て成長するのか、という問いを持ったとき、一つの道しるべを示してくれるのが本書であると思う。タイトルにあるように、看護を『リフレクション』することがキーとなる。本書は、リフレクションによって看護師はどのように成長してくのかを、その理論と病棟で行われたリフレクションの11の事例を通して、読者に明らかにしていく。

副題に『経験から学び新たな看護を創造する』とある。

リフレクション(Reflection)とは何か

 筆者は本書の第2章で、リフレクションの歴史的経緯を記述しながら、「臨床看護師が行うリフレクションを、学習のツールというよりも思考のプロセスとして捉えて」いる。

 そしてリフレクションとは、「看護師が状況に沿った意図的な実践を行うために、一定の方法を用いて自己の看護実践を振り返り、実践に潜む価値や意味を見出し、それを次の実践に生かすことによって、さらに状況に沿った意図的な実践を行うプロセス」と述べている。

 つまり、看護実践とその振り返りはセットで行わなくてはならない、ということである。もしも看護実践のみに精一杯になってしまっては、自身は心身ともに疲弊し、成長も見込めない。そうなってしまっては、よい看護を提供することも叶わなくなってしまう。このサイクルはどんどん悪い方向に動いていってしまう。

 その悪いサイクルを断ち切り、よいサイクルへと変化させていく手段の一つが本書で示された「看護リフレクション」である。

実務経験が長いほど看護師としての能力が成長するとは一概には言えない

 経験学習という文脈において、経験+内省(自分自身のはたらきや状況をかえりみること)は組み合わせで語られることが多い。つまり、経験から学ぶためには、その経験を内省しなければならないのである。その内省の具体的な方法についてもこの本は豊かな記述がある。

11のリフレクション事例から得られる豊かな学び

 本書の後半には、筆者が実際に行った看護リフレクションの実例が解説とともに紹介されている。読者はこれを読むことで、事例を追体験し、自らの経験も踏まえつつ、リフレクションとはどのように行うものなのか、を学ぶことができる。

 病棟での事例ではあるが、訪問看護に関わる人々にも学びあると考える。病棟での看護と訪問看護の共通点と相違点を意識することで、では訪問看護においてリフレクションをどのように行うのか、を考えるヒントになるだろう。

まとめ

 看護師は、患者・家族・医師・その他数多くの関係者とともに、看護を実践する。患者の状況は刻々と変化していく。当然、患者やその家族の気持ちも変わっていく。技術も進歩していくだろう。ともに働く人々の性格も影響するかもしれない。自分自身の気持ちも絶えず変化する。このような非常に不確実な状況の中で看護師たちは働いている。看護師の仕事は日々、看護を創造する、といって良いと思う。

 本書副題の英文は、『Learn from Experience and Create New Nursing 』である。看護師は実践を振り返り、新たな看護を創造していくのだ、という筆者からのメッセージが込められていると感じた。

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