目次
本の紹介
恐れのない組織-「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
はじめに
看護師は病棟においても在宅看護においても、チームで協働して患者さん・利用者さんのより良い生活を守っています。そこで、今回は「どうしたら良いチームが作れるのか」という管理者が常に頭を悩ませるテーマに関する『恐れのない組織-「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』という本をご紹介いたします。
本書は心理的安全性に関する研究の第一人者であるハーバードビジネススクール教授のエイミー・C・エドモンドソンの著書です。本書は、以前ブログでご紹介した「チームが機能するとはどういうことか」の主題であるチーミングを成立するための1つの要素である「心理的安全性」について、より詳細で具体的に書かれています。
心理的安全性とは?
エドモントソンは心理的安全性について本書の中で、下記のように述べています。
『対人関係のリスクをとっても安全だと信じられる職場環境であること。それが心理的安全性だ』
そしてまた、心理的安全性について下記のようにも述べています。
『心理的安全性は、個人と個人の間ではなく、職場集団のなかに存在する。』
ここから心理的安全性と個人間の信頼や安心した関係性との違いをより明確に定義していることが分かります。
なぜ心理的安全性が必要なのか?
エドモントソンは、医療現場や知識労働者のような相互依存的なチームで協働して働く必要がある職場での組織のあり方を「チーミング」という動詞で表しています。
『現代経済で私たちが価値を置くほぼ全てのものが、<中略>相互依存的であるがゆえに、効果的に協働しなければ成果の出ない判断と行動から生まれている。<中略>そのような協働は<中略>形式的で明確な境界のあるチームの中ではなく、むしろメンバーの組み合わせが刻々と変わる場で起きるのだ。このようにダイナミックに協力することを「チーミング」という。』
また、著者は多くの医療現場での研究実績があり、本書内では医療職からは馴染みのある事例が多々紹介されています。
例えば、対人関係のリスク(無知・無能に見えたり、混乱をもたらす人だと思われるようなこと)の不安が最小限に抑えられている職場では、チームメンバー皆が疑問や、起こしてしまったミス、まだまとまっていない考え等率直に自分の考えを伝えることができているようです。そのため医療ミスが少なく治療成績の良くなっているという事例が載っています。
おわりに
本書では、なぜ心理的安全性が重要なのかというだけではなく、チームのリーダーが具体的にどうすれば心理的安全性の高い職場にできるかということを事例を用いての説明があります。前述の通り医療現場の事例も多いため、読み進めるごとに「こういうことってあるなぁ」と何度も頷いてしまいました。
本書は看護の職場内チームはもちろん多職種連携チームにおいてもとても参考になる本ですのでご興味のある方は是非読んで見てください。
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