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EvidenceーBased Nursing Management
前回、前々回と私たちが提供するサービスの基本となる考え方であるEBNMgtについて書いてきました。
今回はさらに具体的に、看護管理の現場でどのようにEBNMgtを実践していくかについてご説明していきたいと思います。
よくある看護現場の光景
皆さんの中には以下に挙げるような看護現場を経験したことある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
・人間関係が悪く離職率が高い
・やる気の無い看護師がいて他の人のモチベーションを下げている
・業務が多すぎて残業が減らずに疲れきっている
・疲れてみんなイライラしている
・怖い先輩に萎縮して新人が聞きたいことを聞けない
こんなとき、あなたが現場にいたらどう考えるでしょうか?
「看護師は性格のきつい人が多いからしょうがない」
「あの人いっつもイライラしていて、あの人のせいで職場の雰囲気が悪くなる」
「こんなに忙しいのは経営者が儲けようとして私たちをこき使っているブラック職場だからだ」
「管理者は現場の看護もしないで偉そうに言うばかりでむかつく」
「誰かが辞める前に自分が辞めてやる」
いくつか例を挙げてみましたが、当てはまるものはあったでしょうか?
あなたが管理者だったらどうしますか?
では、あなたが新たにこのような職場に管理職として着任したらどのように考えて、そして行動しますか?
管理職としてあなたは目標を達成することが求められています。
看護の職場では、部下である看護師たちは専門職です。各自が専門家として自律して動いています。そのため、看護管理者は看護師たちに指示を出すより、看護師たちが自律して働けるように支えることが求められていると私たちは考えています。
また、看護のサービスは看護行為です。看護師=サービスの源泉とも言えます。パン職人がいなければパンができないように、看護師がいなければ看護サービスは提供できません。そのため、看護の職場で目標を達成するには看護師たちに働いてもらわなければなりません。かといって、ただ看護師免許をもった人がいれば良いというわけではありません。その職場で求められている看護を提供できる看護師がいなくてはなりません。そのため、仕事に慣れている看護師にできるだけ働き続けて貰うことは重要です。
つまり、看護管理者に求められている役割とは、端的に言えば部下である看護師たちが働き続けたいと思える職場を作ることではないでしょうか。
さて、上記のような問題山積の職場であなたが新たに管理者として働くこととなった場合には、どうしたら看護師たちが働き続けたいと考える職場にできるでしょうか?
まず思い浮かぶのは「職場の雰囲気を悪くしている人に辞めてもらう」という方法でしょうか?それも一つの方法と思います。しかし、常勤換算や訪問ルート、職場全体の業務量を考えてみて現実的に可能でしょうか?
次に「職場の雰囲気を悪くしている人にアンガーマネジメントの研修を受けてもらう」という提案もあるかもしれません。それも一つの方法かもしれません。しかし、その人がアンガーコントロールをできるようになっても、イライラする原因が別にあるのだとすればまた違う人がイライラして雰囲気を悪くすることがあるかもしれません。これでは幾らアンガーマネジメント研修に費用をかけてもモグラ叩きです。
そうすると、管理者として残された道は一つです。
「自分ができること」をする、ということです。
管理者ができることは何か?
では「自分ができること」とは何でしょうか?
使いにくいと感じる事務所のレイアウトを変更する、立ち上がるのに時間がかかったり作業途中で固まってイライラするPCをよりスペックの高いものに交換する、訪問の移動手段である自転車や車を整備する、くたびれたユニフォームを新しい物に変える等々働くことを支えている様々な物や事等の職場環境改善に着手する。それだけではなく、業務の手順や役割分担、段取りをより良いものに変えることにも着手できるのではないでしょうか。
また、看護師たちが欲しい情報を取ってくる・情報を配るということもできます。例えば、次の診療報酬改定における加算や看護に関わる情報、事業所の目標や現状に関する情報などの情報を配ることや、モチベーションが高まるような関わりをする、看護について悩んでいる看護師の相談にのる・指導する等も管理者として情報を配っていると言えます。
これらは他人の心の中や行動を変えることと違って、管理者として「自分ができること」なのではないでしょうか。
そして、上記のような管理者としてどのような職場を作ると良いのかということについては、経営学分野において研究が盛んにされています。
私たちは、そういった経営学や看護管理学の科学的知見を使って管理者さんたちにこの「自分ができること」の手札を増やす支援をしています。もちろん、実践するには研究結果として「こうするのが良い」というだけではなく、実際の現場の状況に合わせた行動まで落とし込んでいく必要があります。そのためには、前述の科学的知見だけではなく、離職率や職務満足度調査の結果等その組織の現状を反映するデータ、管理者さん個人の経験値による知見、もちろん従業員や利用者等の考え等を統合して評価し、「何をするのか」意思決定をする必要があります。
そこで私たちは、ただ世の中でこういった研究がありますよ、というご紹介をするだけではなくケースメソッドという事例を通して学ぶ研修と自らの管理者としての働きを振り返るリフレクション、またはコンサルティングといった組み合わせによって看護管理者さんたちを支え、それぞれの職場で役立つ武器を身につけるお手伝いをしています。
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