エビデンス・ベースド・ナーシングマネジメント(EBNMgt)②

目次

Evidence-based Nursing management

 前回、看護師の職場環境改善という課題を解決するために看護のエビデンス・ベースド・ナーシング(EBN)と経営学のエビデンス・ベースド・マネジメント(EBMgt)をかけ合わせたエビデンス・ベースド・ナーシングマネジメント(EBNMgt)という定義を新たに提案しました。今回はエビデンス・ベースド・ナーシングマネジメント(EBNMgt)について詳しくご紹介したいと思います。

マネジメントとは何か

 ここでマネジメントという単語の意味について改めて考えてみましょう。マネジメントは日本語だと「管理すること、経営すること」と訳されることが多いと思いますが、もう少し詳しく考えてみましょう。

managementという単語を[英英辞典]で調べてみます

・the act or skill of controlling and making decisions about a business, department, sports team, etc.

(ビジネス、部門、スポーツチームなどをコントロールし、決定を下す行為またはスキル:筆者訳、以下カッコ内の文章は同じ)

 マネジメントは管理と訳されることが多いですが、実は上記からわかるように管理(コントロール)はマネジメントの一つの要素なのです。さらに辞書をみてみましょう。

・the act or process of deciding how to use something

(何かをどのように使用するかを決定する行為またはプロセス)

 このようにマネジメントとは、ある目的の達成のために、その達成に役立つと思われる様々な資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を集め、それらをどのように使うのかを考え、そして行動に移していくプロセスのことを言います。

 ナーシングマネジメント=看護管理においても同様で、看護管理者の仕事は”より良い看護と看護師の労働環境を実現するために意思決定をして現場の仕事が滞りないように推し進めていく役割”だと私たちは考えています。

 そして、その役割は全てを超越した存在が行なっているのではなく、看護管理者さんたちが日々悩みながらどうにかこうにかやっているのです。特に訪問看護においては、現場で訪問看護をしていた看護師が特別な訓練を受けることもなく急に管理者になることが多く、組織によっては管理者の仲間や相談する人もいない中でどうにか頑張って管理者をしている人が多くいます。

エビデンスとは何か

 次に、エビデンスという単語の意味について改めて考えてみましょう。ここでいうエビデンスとは基本的に情報という意味です。日本語であれば証拠や根拠と訳されています。

evidenceという単語を[英英辞典]で調べてみると、以下のような説明がまず出てきます。

・something which shows that something else exists or is true

(何か他のものが存在する、または真実であることを示すもの)

 この情報は数字であるかもしれないですし、文字で書かれているかもしれません。どなたかの経験に基づく話を耳から聞くことも情報です。自分の経験というのも行動する際に参照する情報と言うことができます。

エビデンス・ベースド・ナーシング(EBN)とは

 ここで、エビデンス・ベースド・ナーシング(EBN)について確認してみます。看護学を構成する重要な用語集では下記のように定義されています。

” EBNの基本的な考え方は、患者をケアするときに、研究から得られる最善のエビデンスを、看護の専門的知識を用いて判断し、その患者に対して良心的にかつ思慮深く使っていくことである。また、この考え方は、①そのときに利用可能な最善の研究結果としてのエビデンスを看護に適用すること、②患者の意向を尊重すること、③臨床の専門的知識を用いて研究成果を看護に適用するか否か判断を行うこと、④資源の利用可能性、の4要素を統合し、その時代の最善のケアを提供することを重視している。 

エビデンス・ベースド・ナーシングマネジメント(EBNMgt)とは

 私たちの考えるエビデンス・ベースド・ナーシングマネジメント(EBNMgt)は、看護や医療で常識になっているエビデンス・ベースド・プラクティス/メディスン/ナーシングの考え方を看護管理においても実行することです。

EBNMgt

 私たちの考えるエビデンスは以下の4つです。

  1. 科学的エビデンス:経営学や看護管理等の研究知見
  2. 組織的エビデンス:その組織内で集められたデータ
  3. 体験型エビデンス:経営者・管理者の経験や知見
  4. 利害関係者のエビデンス:従業員や利用者、株主の価値観や関心事

 そして、上記の4つのエビデンスをもとに”尋ね、獲得し、査定し、集約し、適用し、評価した上で意思決定を行う”ことが看護管理者の役割と考えています。

合同会社manabicoの提供するサービス

 看護管理者は日々、悩みながらより良い看護と看護師の労働環境を実現するために意思決定をして現場の仕事が滞りないようにどうにかマネジメントをしていると思います。もし、日々の意思決定の拠り所になるエビデンスがあれば、悩みながら業務に携わる看護管理者の手助けとなるのではないでしょうか。

 そこで、私たちは経営学や看護管理学の知見を生かして現場の看護管理者さんたちが意思決定の拠り所となるエビデンスを紹介し、また自らそのエビデンスに辿り着くことができるよう、ケースメソッド型研修とリフレクションを組み合わせた教育研修やコンサルティング等を通じて支援をしています。

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