本の紹介『介護人材マネジメントの理論と実践 不確実性を活力に変える「創発型人材マネジメント」』

はじめに

 訪問看護という仕事を考えたときに、関係する仕事のひとつに訪問介護という仕事があると思います。看護という仕事と介護という仕事、これらの利用者になる方々は同じ人であることもあるでしょう。例えば、週3回訪問介護をお願いしている人が、週1回訪問看護を利用している状況です。
 訪問看護に近接する領域として、訪問介護とはどのようなものか、そしてそこで働くマネージャーたちはどのような悩みを抱えているかを知ることは、訪問看護管理者の仕事を考える上でも有用であると思います。
 本書「介護人材マネジメントの理論と実践」は、日本の介護サービスの現状と問題点を明らかにし、介護人材をマネジメントする人たちに向けた明るいメッセージを提供しています。
 一読後改めて本書の英語タイトル「HRM to Make Care People Creative in Uncertain Job Situations 」を読むと、このタイトルが本書の内容を一文でよく表していると感じます。... 続きを読む

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本の紹介『知識創造企業(新装版)』

はじめに

 活き活きと活動している訪問看護ステーションはメンバー同士のコミュニケーションが豊かに行われている印象があります。訪問看護の仕事の特徴の一つに、メンバーがそれぞれ利用者宅でサービスを提供している、ということがあると思います。つまり、基本的にメンバー同士が同じ場所で仕事を進めることがない、ということです。こうした特徴を持つ訪問看護師の仕事をチームとして進めていくには、コミュニケーションがキーとなります。
 メンバー同士が高めあい、外部環境の変化をものともせず、それぞれの利用者の在宅生活の継続に向けてチームとして活動している訪問看護ステーションでは、チームとして新しい知識が生み出されているはずです。しかし知識といってもメンバーの頭の中にあるものは見ることができないのでなかなか意識するのは難しいと思います。
 そんなとき、知識の創造を、形式知(数値や文字で表せるもの)と暗黙知(個人の行動、価値観、情念に根ざした言語化しにくいもの)の相互作用として捉え、理論化した「知識創造理論」の思考的枠組みが、チームとして知識をどのように作り上げていくかを考えていくときに役立つと思います。... 続きを読む

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本の紹介『日本の経営<新訳版>』

はじめに

 訪問看護ステーションと取り巻く現状として、医療保険制度の変更や少子高齢化の影響、景気動向や医療技術の進展といったマクロ要因はニュース等で目にする機会も多いと思います。これらの要因は訪問看護ステーションの運営にも間違いなく影響してきますが、これら以外にも日々の仕事に影響を与えているものを感じることはないでしょうか。例えば文化・風習・慣習といったものです。こういった暗黙の前提になっているものは、その社会で暮らす私たちにとってなかなか見えにくいものです。しかし、時としてこのような暗黙の前提に困らされることも出てくるのではないかと思います。
 今回紹介する本は、1958年に出版されたものです。アベグレンというアメリカ人の研究者(1997年に日本国籍を取得)が文化人類学的な手法を用いて研究を進めました。1955-56年にかけて日本の工場を訪問し、日米の工場比較を社会組織の面から行い、日本的経営の特徴を明らかにしています。... 続きを読む

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ケース『看護師と本社の間でー訪問看護管理者田中めぐみー』

概要

 田中めぐみは訪問看護管理者である。彼女はスタッフの看護師がうまく動いていくれないことに悩み、加えて本社の管理部門がこちらの状況を理解してくれないことにいらだっている。どうすれば彼女は看護師と本社の間の板挟みの状況を乗り越えていくことができるのだろうか。... 続きを読む

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