認定看護管理者カリキュラム基準から看護師をまとめるマネージャーに求められる能力を考える

目次

 前回 の続きで、認定看護管理者カリキュラム基準の内容を見ながら、看護師をまとめるマネージャーに求められる能力を考えていく。

認定看護管理者制度及びカリキュラム変遷の概略

 1993年から各都道府県看護協会がファーストレベルを開始し、1994年には日本看護協会がセカンドレベルを、1998年よりサードレベルを開始しました。そして2002年に、日本看護協会が認定看護管理者制度を大幅に改定し、制度とカリキュラムが整備されることになりました。このことにより、認定看護管理者教育課程を実施することのできる機関は、日本看護協会及び都道府県看護看護協会以外の看護系大学にも拡大しました。
 この後、カリキュラム改正は2004年(一部2007年)、2012年、2018年と実施されて、2021年に至っています。

これまでのカリキュラム変遷を調べて感じられたこと

 全ての課程で演習や実習が加えられたのは大きな変化だと感じました。
 そして、研修で職場を離れる時間が長すぎるという意見を受け、受講生と派遣元の病院に配慮した研修時間数の減少が行われました。
 また、 ファースト・セカンド・サードレベルの流れに変化はありませんが、教育内容について各課程間の整合性・関係性を高めるカリキュラム構成へと変わっています。
 内容に注目すると、看護師のマネジメントによりフォーカスした授業時間の配分になっていることがわかります。2018年改正は全ての課程で教育内容が削減されています(ファーストは時間数を150時間→105時間に削減)。このような中で、「人材管理」については各レベルの教育内容に削減がないことは注目に値すると思います。
 2018年改正により、特に、地域包括ケアと多職種連携の中心にいる病棟の看護管理者向け研修という位置付けが明確化されたように感じました。

認定看護管理者カリキュラム基準は「人材管理」を重要視している

 2004年から2018年までのカリキュラム基準の変遷を見ましたが、その時々で多少の変化はありつつも「人材管理」が重要視されていることがわかりました。
 研修時間の削減と実習や演習の実施により、教育内容の厳選が求められていますが、「人材管理」だけはその削減がありません。
 看護師という専門職をまとめるマネージャーにはやはり「人材管理」についての知識や能力が必要である、ということが言えそうです。

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