本の紹介『サーバントリーダーシップ』

目次

リーダーシップってなんなのだろう

 みなさんが身近で知っている訪問看護管理者の仕事ぶりを思い浮かべたとき、彼・彼女はどのようなリーダーシップ発揮していましたか?メンバーをぐいぐい引っ張っていくタイプだったでしょうか。それともメンバーに支えられ助けられて仕事をすすめていくタイプでだったでしょうか。もしかすると他のタイプだったかもしれません。
 リーダーシップとは何かを考えたとき、一般的にぐいぐい引っ張っていくタイプを思い浮かべる方が多いのではないかと思います。試みに辞書でリーダーという単語を調べてみてみると、「先頭に立ってみんなを引っぱっていく人。先導者。指導者。統率者」とあります。しかし、「メンバーに支えられて仕事をすすめていくタイプ」もリーダーとして組織をまとめて成果を出していることは多々あります。
 今回ご紹介する、サーバントリーダーシップは一般的なリーダーシップではないスタイルのリーダーシップについて書かれた本です。理論というよりは著者であるグリーンリーフが自らの職業人生とその思索の中で紡ぎ出したリーダーシップの持論です。573頁と長い本ですが、監訳者、スティーブン・コヴィー、ピーター・センゲらが本書に寄せたエッセイもあり、これらが著者の考えを現代に活かすためのヒントを読者に提供してくれています。

サーバントとリーダーという一見すると相反する単語が並ぶことで見えてくるもの

 サーバントリーダーシップとは、奉仕からはじめて信頼を得て人々を導くリーダーシップスタイルです。意味としては理解しやすいものではないかと思います。しかし、このサーバントリーダーシップという単語の並びは、読むと何かどきっとしませんか。つまり、意味が相反する単語が並ぶので、これはなんだろうかという疑問が生じるのです。
 サーバントという単語がリーダーシップを形容することで、周囲のメンバー(フォロワー)について目を向けようという意識が生まれやすいのではないかと思います。言葉の組み合わせの妙を感じました。

まとめ

 奥が深い本です。サーバントリーダーシップについて耳にする機会は前々からありましたが、ようやく本書に取り組むことができました。折を見てまた読み返す本になると思います。古典と言われるような本ですが、全く色あせていません。
 訪問看護管理者の方で、自分がぐいぐい引っ張るタイプのリーダーでないことに悩んでいる方がいらっしゃいましたら、本書は特に参考になると思います。

©︎2021合同会社manabico